15歳

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「え?」 ミナトがぽかんと口を開けると、カイリはハッと目を見開き、 「ごめん」 と即座に謝った。 「えっ?えっ?」 「ごめん、ミナト……」 「ごめんって、何に謝ってるの?」 「……キモいこと言ったから……」 キモい? 俺に触ることが? 「いや、別にキモいなんて思わなかったけど? ——ほら、片手上げて!」 「?……うん」 「ほい!」 ゆっくり宙にあげたカイリの手と、ミナトはハイタッチをしてみせた。 「——みたいなことじゃなく?」 「……」 カイリは三角座りになると、顔を膝の間に入れて項垂れてしまった。 「……えっと。えー……っと」 よくわからないけど、カイリが落ち込んでしまった。 落ち込ませたくて会いに来たわけじゃないのに。 この空気をどうにか変えないと—— 「ご、ごめんカイリ! 俺、カイリがどーしたいか上手く汲み取れなかったわ。 とりあえずさ、カイリの好きにしていいよ!」 「……え?」 「俺に触りたいんだろ?好きなとこ触って!さあ!」 ミナトが両手を広げて笑ってみせると、カイリは恐る恐る顔を上げた。 その顔が真っ赤に染まっているのを見たミナトは、どくりと心臓が鳴った。 ……なんだろう。 カイリのこんな顔、今まで見たことあったか……? 「——もしミナトが嫌だなって感じたら、僕のこと突き飛ばしていいからね」 やがてカイリは、決心したようにそう口にすると、ミナトのシャツに両手をかけた。 「え——」 「服、脱がせるね。ミナト」 「?お、おう……」 カイリの前ではもう何度も裸になってはいる。 しかしカイリの部屋で、キャンバスの用意もないままに服を脱がされているという初めての経験にミナトは違和感を持った。 それでも、カイリの好きにしていいと言った手前、そしてカイリを自分のせいで悲しませたくないという気持ちから、抵抗することなくシャツを脱がされていくと—— カイリは裸になったミナトの手を掴み、自分の胸元へ引き寄せた。 「——僕の服、ミナトが脱がせてくれる?」 こんなのは、普通じゃない。 そう直感した。 こんなこと、男同士、友達同士でするようなことじゃない。 ミナトはそれに気付いた瞬間、たとえようのない恐怖を感じた。 カイリ。カイリは俺と何をしようとしてる? ——不意に、カイリとの下校中に雑木林から聞こえてきた喘ぎ声が脳内にリフレインした。 まさかカイリ、俺とそういうことを……? ミナトは身構えながらも、そろそろとカイリの服を脱がせていった。 恐怖と、言い出した者としての責任感と、カイリの期待に応えたいという友情のせめぎ合いの中、初めて目にするカイリの素肌が現れた。 トモヤが言っていたように、顔や手足だけじゃなく、身体も白くて綺麗な肌をしている。 日に少しも焼けていない、透明感のある皮膚は島の住民にしては似つかない肌をしている。 そして、青白く光る肌だからこそ余計に、タバコで根性焼きをされた跡が痛々しく目立っているようにも思えた。 「……脱がせた、けど…… このあと、どうする……?」 思わずカイリの身体をジロジロと眺めてしまった後で、ミナトはハッとしたように尋ねた。 するとカイリは耳を赤らめ、視線を床に向けて言った。 「ぎゅってして欲しい……」 ミナトはごくりと生唾を飲み込んだ後、恐る恐るカイリと距離を詰め、裸のカイリを抱きしめた。
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