紙喰らい

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「そも婆さんが何者で、どこから来たか。本当に死んだかさえも分からないんだ」  目の前には、手紙を貪る老婆。  透けつつも未だ手紙をちぎり飲み込んでいく。 「ただ今も、自身の腹に収めた手紙をさらに新しい手紙(もの)を食うことで押さえ込んでいる…俺にはそう見えてしょうがないんだ」  日が完全に沈み、同僚は懐中電灯をポストに向ける。  …そこにはバラバラになった手紙の破片だけが残されていた。
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