紙喰らい

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「…あ、またあの婆さんが出たよ」  蝉の声がきこる黄昏時。  同僚の声に顔を向ければ、ポストの前に老婆がひとり立っていた。  開け放たれた木製のポストのフタ。  老婆は手紙をむさぼるように口にする。 「止めないんですか?」 「…止められるか?あれ」  老婆の体は透けており、バラバラの手紙の破片が足下に散る。 「…ぶっちゃけ、あの婆さん。自分で後悔してああなったからな」
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