0人が本棚に入れています
本棚に追加
第一話 現世を生きる俺
ここまでの題名を見たことでチート系なものと勘違いする人は多いと思う。だが、これは違う。
ただ単に力は変わらない。肉体の成長は引き継げないのだから。
「れいや〜」
なんてことを言っていると俺のもとに幼馴染のシズがやってきた。
本名は青木 静弥って言うらしい。
顔もいい。スタイルもいい。運動もできる。頭も平均以上。まるで理想の男子だ。
......だが、残念ながら男の幼馴染だ。
もしここで女の色気ムラムラの幼馴染が出てくれば確実にオトナコミックになることは間違いないだろう。でも、俺は最低でもこの現世では女の幼馴染はいない。
だからといって今の生活を嫌だとは思っていないからな...ちょっとだけ欲しかったけど。
「YORUASOBIの新曲が出たらしいぜ〜〜〜!!!」
「ライブを今度見に行こうぜ!!」
「私達も一緒にいいかな?」
こんなことをシズと話していると周りの男子と女子が集まってくる。すると、すでに周りには6人もいた。そうだな。
つまり、俺は陽キャと言う立ち位置にいる。
「どうだ?れいやはどっちが良いかな?
元々は2人で行くつもりだから、嫌なら断る」
すると、隣から声をかけられた。シズだ。
俺は当たり前のように口を開く。
「俺はいいと思うぞ。
やっぱりライブだし人が多いほうが盛り上がるよな!
.....あとよっしーが中華料理店を奢ってくれるって...」
「お前!!!そんなこと言ったら行きたくてもいけなくなるじゃないか!!!」
「あ〜。前も冗談で言ったらほんとに奢ってくれたしね」
陽キャグループの一人、からあげちゃんが思い出し笑いをし始めた。
本名は漢字はわからないけど[りりか]だ。あだ名がついてしまった原因としては、可愛い系の女子なのに給食の唐揚げを6個もおかわりしてしまったことから始まった。うん、話を戻そう。たこ焼き大量虐殺事件。あれは酷かった。シズが銀Oこのたこ焼きを食べたいと言い出してよっしーにおねだり。その後みんなよっしーにお願いしだして。よっしーが放課後に銀Oこに行ってクラス全員のたこ焼きを買いに行っていた。その後たこ焼きが多すぎて食べきれず...吐くものもいた。
あれはもう、黒歴史というか...もう、うん、悪夢だったな。
「仕方ないじゃん。みんな食べたがっていたんだもん」
「お前、神だわ」
シズがよっしーによしよしする。元をたどればこいつが原因だが。
「ま、もう雨降ってきそうだから帰ろうぜ?」
「え、こいつが初めて帰ろうって催促してきた...」
髪の毛が金髪の男、加賀だ。ずっと中学から一緒だが、こいつはとにかくアホで、なんか奇跡的にこの偏差値の高い高校に入れたやつ。
ここの学校は5つコースがあって、こいつは上から4番目である特進コースで入った。特進コースでも偏差値55あるため、入ることはまずまず難しい。
なのに、中学の内申点は国数英理社...合わせて11という意外とやばいよ〜〜〜?のほうだった。でも、得意な体育で5を取り、うるさい歌声で4、奇跡的に才能を発揮した技術教科で5、更にたまたま入試の面接で、面接官と気が合って好感度アップ、などとよくわからないが凄いやつだ。もう、凄いしか言いようがない。
あと髪の毛が金髪でいい理由は学校に外国人だからと言って押し通しているらしい。バレても知らね。
「いつもは雨は飲料水って言ってはしゃいでるじゃん」
からあげちゃんからのまともな正論が飛び出る。
だが...あいつは飲料水とは言ってない。あいつは...
「俺はそこまで犬みたいな性格じゃねえよ。あと飲料水じゃなくてミルクルな?」
「IQがチンパンジー......」
「おい!!!そこらの陰キャ!!!聞こえてんだぞ!!!」
野生の聴覚で聞こえたらしい。ほんとに便利だ。
こんな感じで毎日が本当に楽しいんだ。あとこのような生活はまだある。
そう。異界だ。
*この小説はカクヨムで配信しています。早めに読む場合はカクヨムをご利用ください。
最初のコメントを投稿しよう!