2.わかってない

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 縁側にはひんやりとした風が入ってきて、湯上がりの体を少しずつ冷ましてくれる。確かに神社の中なのに、ここは初めて来た場所だ。磨き抜かれた縁側からは夕暮れの風景が見える。まだ明るかったはずだが、時の流れがずっと早い。常磐と一緒にいると、たまにこんなことがある。神と人の時は違うんだろうか。  神社が小高い山の上にあるので、木々の合間からは家々と田畑が見えた。一面を燃えるような夕焼けが染めた後は、静かに宵闇がやってくる。紫から藍色に空が変わり、星が少しずつ輝き始めて、思わず歓声を上げた。まるで違う世界に来てしまったように、刻々と変わる風景に目を奪われる。 「恭弥」 「なっ、何?」  名を呼ばれて目を向けると、常磐が自分をじっと見ていた。いつの間にかコウがすぐ側で小さな徳利を持っている。 「えっ、酒?」 「これは、神々の飲み物で人には薬となりましょう。どうぞおひとつ」  俺は盃を手に取った。朱塗りの器にとろりと白い液体が注がれる。どうしようかと戸惑っていると、常磐が微笑んで盃を口に運ぶ。久しぶりに常磐の笑顔を見たのが嬉しくて、俺もそっと白い液体を口にした。  ほんのり甘い飲み物がするりと喉を通った途端、胸が一気に熱くなる。ふわふわと舞い上がるような心地がする。 「や、やっぱりこれ……」  酒なんじゃないだろうか? 正月のお屠蘇を飲んだ時とよく似ている。ふわふわした頭でもう一口飲むと、いつの間にか常磐がすぐ側にいた。隣に座った常磐が、俺の手から盃を取ってコウに渡す。 「常磐、これ変なんだ。体が熱いし、何だか頭がふわふわする」 「人には少々強かったか。でも、これがないと、辛いのはお前だ」  常磐の言うことがよくわからない。何でこれがないと、俺が辛いんだろう? よろけた自分を支えてくれる常磐の腕が嬉しい。常磐にもう少し触れたい気持ちがよぎって、浴衣の袖をついと引いた。 「……誘っているのか。そんな顔をして」  互いの顔が近づき、鼻先が触れそうになる。常磐は俺の頬に手を添えて、そっと唇を重ねる。互いの口の中に甘さが残っていて、唾液と共にこくりと飲み込む。どうしてだろう。常磐とキスをした途端、頭も体も溶けてしまいそうになる。 「んっ。とき……わ」  続けて口の中をゆっくりと舐められ、舌を吸われる。常磐の右手が俺の頭を引き寄せて、左手で腰を掴んだ。膝の上に乗せられると、尻に硬いものが当たる。下着は用意されなかったから身につけていない。
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