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告白
彼女は中学生の頃、学校を休んでからいじめられるようになり、そのまま不登校になったことがトラウマになっているらしかった。
そして今、おばあちゃんが亡くなって学校を休んでしまい、またいじめられるかもしれないと学校に行けず、どうしていいか分からなくなったそうだ。
僕も力になれればと思うが、おばあちゃんの代わりにはなるはずもない。でも、なんとか、彼女の力に、そばにいたいと思った僕は、この瞬間、告白することを決めた。
「田辺さん、ずっと前から好きでした。あなたの力になりたいです。僕と付き合ってください」
すると彼女は驚き、少しして、
「はい、よろしくお願いします」
と答える。
僕は、緊張が収まるわけもないけれど、すごく嬉しくなって喜んだ。
でも、彼女の状況を考えてすぐ向き直る。
そして、入学式の日から好きだったこと、一目惚れしたことを伝えると、彼女は、
「ありがとう」と少しは嬉しいのか笑ってくれる。
無理して笑おうとはしていないがあまり笑えていない。
「おばあちゃんの代わりにはなれないけど、恭子さんが幸せになれるように努力します」
と僕が言うと、彼女は、
「十分だよ。ありがとう」
と言ってさらに続ける。
「私も酒井くんを幸せにできるよう努力します」
この後は2人とも一旦家に帰り、僕の両親は共働きだったのでメールで体調が悪く、休んだことを書いておいた。
その日から彼女は学校に行くようになり、学校では僕と行動するようになった為、学年では有名なカップルだと噂されているようだ。
これからも一緒に学校帰りや休日、勉強したり、カラオケに行ったり、神社に行ってみたり、動物園や博物館、遊園地、水族館。いろいろな所へ行った。
そして卒業式の日、突然彼女から別れを告げられた。
嫌な思いをさせてしまったのか、飽きさせてしまったのか、問い詰めたら、
「ごめんね、違うよ」
と言われ、僕は何も聞けなかった。
家に帰ってから、彼女は他に好きな人でもできたんだろうと僕は思うことにした。
それからメールの返信は無くなった。
そして僕は半年後、告白され、また彼女ができた。
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