月と私

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見たこともないような木や花が咲いている。 森の様な場所だった。 そんな森をしばらく進んで行くと、 遠くの方に真っ赤な光が見えてきた。 「えっ?!なっ、何⁈  ここは…一体…何なの⁈」 真っ赤に染まったマグマの様な川の向こうに 真っ黒なお城が聳え立っていたのだ。 「ここが王様の住むお城です。  私はこの先には行く事ができません。  ここからはあなたが一人で行って下さい。  それでは、私は失礼致します。」 「えっ?えっ⁈ちょっと、待ってよ!  私一人って…無理だから…。」 「大丈夫ですよ。  あなたは選ばれた人間ですから。  王様はあなたの事をずっと待って  おられます。  さぁ、この先に門がありますので、  お進み下さい。」 (えっ⁈まっ、待ってよ…。 本当に何なの⁈ 選ばれたってどういう意味⁈ 私が?何で⁈ 説明がなさ過ぎるわ…。) 「えっ?本当にもう行っちゃうの⁈  私一人でどうしろって言うの?  あなたも一緒に来てよ!」 「申し訳ありません。  それは王様命令で禁じられております。  ですので、私はこの先へは行けないの  です。  ですが、お城に入れば執事がいます。  後はその方に従って下さい。  私の役目はここまでです。  では、失礼致します。」 そう言ってうさぎ人間は森の奥へと消えてしまったのだった。 一人取り残された私は途方に暮れていた。
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