月と私

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「では、王様の所へご案内致します。」 私達は橋を渡り、門を潜った。 門を潜ると、すぐにガタンっと門が閉まって しまった。 (何だろう…。ここだけ空気が‥薄い…。) 「うっ、うわぁ…。  くっ、苦しい…。」 私は突然息ができなくなって、倒れてしまった。 そして、気づいた時には車椅子に乗せられて 小さな部屋にいた。 小さな部屋には小さなベッドとテーブルがあり、写真がいくつも飾られていた。 小さな窓もあり、そこからはさっきの赤い川が見えていた。 (お城の中かな? ここは息が出来る…。 小さい部屋…。 まるで、子供部屋だ…。 可愛い壁紙に可愛いテーブル、 それも、可愛いベッドがある…。 子供でもいるのかな?) 「あっ、写真が沢山ある。  ちょっと見てもいいかな…。」 私はテーブルに飾られていた写真を見た。 その写真には綺麗な女性と可愛い赤ちゃんが 写っていた。 「えっ?これ…人間だ…。」 (ここはこの赤ちゃんの部屋かな?) 私が写真に夢中になっていると、突然部屋のドアをノックする音が聞こえた。 私は慌てて持っていた写真をテーブルに戻した。 「はっ、はい…。」 「ご気分はいかがですか?  失礼致します。」 さっきのご老人の声がした。 「お目覚めですね。  良かったです。  ご気分はいかがですか?」 「あっ、はい。大丈夫です。」 「そうですか。  それでは、王様がお待ちなので、  ご案内致します。」 そのご老人は私が座っている車椅子を 動かしてきた。 部屋を出ると広い廊下が広がっていた。 部屋はいくつもあった。 私は違和感を感じていた。 部屋は沢山あるのに、人の気配が一切しなかったからだ。 よく見ると蜘蛛の巣があちこちにあり、 廊下も埃まみれで汚れていた。 まるで、お化け屋敷の様な薄気味悪い所だった。 (えっ?何この屋敷…。 怖すぎる…。) 私は寒気がしてビクビクしながら周りを見渡していた。  
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