月と私

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(そうか‥これは夢なんだ…。 だから、私の体も動くんだ…。) 私はその子に言われた通り体の力を抜いて 上体を起こしてみた。 すると、私の体はフワリと宙に浮いたのだ。 「えっ?う、嘘!?  ほっ、本当に浮いた!?」 私は凄く驚いたけど、すごく不思議で、 嬉しくなった。 「私…空飛んでる!わぁ、夢見たい!  そっか!夢だからなんだ!」 私は子供になった様にはしゃいだ。 「あなたが魔法使ってくれたの?  ありがとう!  私…歩けなくなったって言われて  すごく辛かったの。  これならもう何も心配いらないよね!  ずっと…夢の中にいたいなぁ…。」 「さっきから言っていますが、これは  現実です。夢ではありませんよ。  これから、月へあなたをご案内します。  それにあたって、何点か注意がございます。  まず、この事は絶対に誰にも口外しない事。  あなたの胸に閉まっておいて下さい。  それから、月では王様の言う事を守って  下さい。  王様に逆らえばどうなるか分かりません。  月の王様は気が短く、とても恐ろしい方  です。  手土産を用意してあります。  あなたはこれを王様に届けて下さい。  王様の大好物のお団子です。  あなたは今回選ばれた人間です。  王様に相応しい方なのか見極めさせて  いただきます。」 また新しい情報が入ってきた。 月には王様がいるようだ。 私はやっぱりこの状況が理解出来なかった。 (月に王様⁈ 大好物はお団子⁈ 一体何者なの? 選ばれた人間⁈ 何に選ばれたの? 私は…殺されるのかな?)
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