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1.白虎
この世界には陰と陽の世界がある。
俺たちが普通に暮らしている世界は陰の方であり、陽の世界は目に見えない。
目に見えるのは限られた人である。
生まれ付き見える人―これは一般に霊能力者と呼ばれる人たちだ。
そして俺のように後天的な奴らもいる。
これは特別なんかじゃなくて、誰かがやらなければいけない事が、運悪く当たっただけなのだ。
そう運悪く…。
水無月家は代々”陽”の世界の見回りを任されている。
国からではなく霊能力者一家に頼まれているそうだ。
本来は父の仕事なのに、父がぎっくり腰になったせいで俺にその役が回って来た。
運悪く水無月家に生まれてなかったら、こんな事がこの世界にはあるって知らずにすんだし、右目と右手だって取られずに済んだんだ。
俺の右目と左手はどうしたんだって?
それは…
「おい、いつまでぼーっとしている」
このマントをした体長約15㎝のトカゲらしき生物の骨の化け物・カインが使っている。そう、こいつのこの骨の顔から見えてる眼球、これ、俺のね。
そしてその横で、〇ダムスファミリーさながら単独で飛び跳ねてる右手。これ、俺の右手ね。
あの日まで俺はただの高校生だった。
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