1.白虎

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 あの日、父に案内されて初めて洋館の地下室に入った。  そこには前々から入ってはいけないと言われていたけど、小さい時に何度もこっそりと入ろうとして怒られた。結局入れたことはなかった。  地下室に入ると、棚にあるモノを直感で取り出せと、立っているのがやっとの父に言われた。  勿論、何が入っているかなんて教えてくれなかった。しかも電気さえ付けてくれない。  恐る恐る、言われたとおりに適当に何か掴んでみた。 「はい」  父に渡すと、それがポウっと光って、次の瞬間には右目が抉られていた。 「なっ?!」  血なんか出なかったし痛くもなかった。  ただ吃驚したんだ。 「初めまして、我が主。私の名前はカイン。カイン・クロード」  俺の右目を入れたソレはそう言った。  ようやく父は電気のスイッチを入れた。 「…何これ?」  右手で中に浮いているモノを指さし、父に聞いた瞬間 スパコーン  と、実に軽快な音が部屋に響きわたった。 「えっ?」  音の出元である右手を見ると、見事に手首から先がなくなっていた。  そんな俺の前には鎌を持ったカイン。  足元には今さっきまで俺の体の一部だったものが…。  ちょっと思い出しただけでも倒れそうになる。  あれの衝撃は経験した者じゃないと分からないだろうなぁ。  兎に角、あれは凄かった…。
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