0人が本棚に入れています
本棚に追加
あの日、父に案内されて初めて洋館の地下室に入った。
そこには前々から入ってはいけないと言われていたけど、小さい時に何度もこっそりと入ろうとして怒られた。結局入れたことはなかった。
地下室に入ると、棚にあるモノを直感で取り出せと、立っているのがやっとの父に言われた。
勿論、何が入っているかなんて教えてくれなかった。しかも電気さえ付けてくれない。
恐る恐る、言われたとおりに適当に何か掴んでみた。
「はい」
父に渡すと、それがポウっと光って、次の瞬間には右目が抉られていた。
「なっ?!」
血なんか出なかったし痛くもなかった。
ただ吃驚したんだ。
「初めまして、我が主。私の名前はカイン。カイン・クロード」
俺の右目を入れたソレはそう言った。
ようやく父は電気のスイッチを入れた。
「…何これ?」
右手で中に浮いているモノを指さし、父に聞いた瞬間
スパコーン
と、実に軽快な音が部屋に響きわたった。
「えっ?」
音の出元である右手を見ると、見事に手首から先がなくなっていた。
そんな俺の前には鎌を持ったカイン。
足元には今さっきまで俺の体の一部だったものが…。
ちょっと思い出しただけでも倒れそうになる。
あれの衝撃は経験した者じゃないと分からないだろうなぁ。
兎に角、あれは凄かった…。
最初のコメントを投稿しよう!