1.白虎

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「…土蜘蛛が範囲内に居る」  カインが低い声で静に言った。  彼の言う範囲とは半径50㌔内の事だ。 「ん~…ほっといても良いよね?まだ害が出るほどの霊力持ってないだろう?」  土蜘蛛は気持ち悪いだけで大して害はない。  ただ厄介なのは仲間が増えると霊力が高まり”陰”の世界に介入して人を襲って食べる事だ。 「いや、そうでもないな…それに、物凄い速さでこっちに来るぞ」 「え?!ここは“道“なのに?」  今俺が立っている所は陽の世界の海に向かう“道“。  土蜘蛛の領域はほぼ逆の“山“。  領域内じゃないと普通、そんなに速く移動できない筈じゃ…。 「霊力が高まり、餌捜しに山から下りて来たのだろう。しかも大群で」  うそ~ん。  …土蜘蛛の好物は霊体や半霊体。  つまり、今の俺。 「やばくない?」 「お前はやばい」  やっぱり!
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