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「自分で早く気づけ」
カインは呆れた声を出した。
そしていつの間にか、俺の前にはでっかい土蜘蛛がいた。
…これは死亡フラグ?
「…突っ立ってないで、動いたらどうだ?」
カインはまだこちらに気づいていない土蜘蛛を睨んだ。
土蜘蛛はゆっくりとこちらに体を動かし始めた。
「…そうだな」
チャンスは今だよな。
でも、まだ死にたくないな…。
なんで俺がこんな目に遭わなきゃならないんだよ…なんで…。
「他の人間が襲われて死んでも良いのか?自分だけ助かれば良いのか?」
「分かってるって!」
分かってても怖いんだって…!
「やれやれ、とんだ主様だな。ライトはやる気満々だと言うのに」
ライトは弓矢を握って、早くと言わんばかりに飛び跳ねている。
…本当に元・俺の手なのかな?
「早くしないと不利になるぞ」
「はぁ~…分かったよ」
こうなりゃ半ば自棄。
きっと鼠もこんな気分だったんじゃないかな。
俺は弓を握って、土蜘蛛に向かって走り出した。
カインの目は元々俺の目なので、俺は同時に二つの視界を得る事ができる(視神経が繋がってないと俺が言ったら『お前の世界の理が全てだと思うなよ』と意味の分からない事を言われた)。
どちらかに集中すれば視界は一つに定める事ができ、今はカインの視界に神経を集中させた。
カイン側の視界だと相手の急所が分かるのだ。
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