1.白虎

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「自分で早く気づけ」  カインは呆れた声を出した。  そしていつの間にか、俺の前にはでっかい土蜘蛛がいた。  …これは死亡フラグ? 「…突っ立ってないで、動いたらどうだ?」  カインはまだこちらに気づいていない土蜘蛛を睨んだ。  土蜘蛛はゆっくりとこちらに体を動かし始めた。 「…そうだな」  チャンスは今だよな。  でも、まだ死にたくないな…。  なんで俺がこんな目に遭わなきゃならないんだよ…なんで…。 「他の人間が襲われて死んでも良いのか?自分だけ助かれば良いのか?」 「分かってるって!」  分かってても怖いんだって…! 「やれやれ、とんだ主様だな。ライトはやる気満々だと言うのに」  ライトは弓矢を握って、早くと言わんばかりに飛び跳ねている。  …本当に元・俺の手なのかな? 「早くしないと不利になるぞ」 「はぁ~…分かったよ」  こうなりゃ半ば自棄。  きっと鼠もこんな気分だったんじゃないかな。  俺は弓を握って、土蜘蛛に向かって走り出した。  カインの目は元々俺の目なので、俺は同時に二つの視界を得る事ができる(視神経が繋がってないと俺が言ったら『お前の世界の理が全てだと思うなよ』と意味の分からない事を言われた)。  どちらかに集中すれば視界は一つに定める事ができ、今はカインの視界に神経を集中させた。  カイン側の視界だと相手の急所が分かるのだ。
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