0人が本棚に入れています
本棚に追加
キリキリ…
霊力を込めた矢をライトと一緒に引ながら、奴らの胴体の下に潜る。
狙うは腹の一番膨らんでいるところ。
シュッ
矢の風を切る音がしたとほぼ同時に、他の土蜘蛛の糸に捕まってしまった。
「げぇっ」
なんというか、情けない。
足元では俺が射った矢のせいで倒れこんでいる土蜘蛛がいる。
今の状況をどうにかしたいが、身動きがとれない。
しかも、俺は霊力が少ないため、霊力を込められる矢はあと二本しかない。
プツン
足元から琴を弾き切るような音が聞こえた。
プツンップツンップツンッ…
これは糸が切れてく音なのか?
プツンッ
確認のため音のする方を見ようとした時、音もなく数体の土蜘蛛達が俺目掛けて攻撃の手を伸ばしてきた。
やばいって…!
…ゴツンッ
「っったぁ~!」
ちょっと、何?!なんで?!頭割れるって!
「早くあちらに走れ」
ビュンッと飛んで来た糸を愛用の鎌で切り落として、カインは土蜘蛛の群れから離れた場所を骨でできた指で示した。
「うん」
俺は走り出した。
きっとさっき、あの鎌で糸を切って助けてくれたんだよね。
少し申し訳ない気分になり振り返ると、カインが鎌で土蜘蛛の手を切り落としていた。ライトは俺の矢を握り、奴らの腹を切り裂いていた。
…もしかして、プツンと糸を切っていたのはライト?
…本当に俺は情けない。
最初のコメントを投稿しよう!