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コンサートホールの2階。左右にウイング状に張り出した席が、ゲストの為に用意されていた。 俺、聖苑、月奈、それと田中氏が一緒に席に着く。 一応、目立たぬようガードマンも就いていた。 照明が暗くなり、cloud nine専用のovertureが鳴り出した。 スクリーンに、メンバーの画像が映し出されている。 それに合わせて、一人ずつステージに登場した。 12人が揃ったところで、新曲からスタートした。 会場は熱狂の渦だ。 メンバーのコールが鳴り響き、ペンライトの波が揺れる。 曲によってセンターが変わって、4曲終わったところでMCになった。 メンバーの簡単な自己紹介が終わり、キャプテンが紹介してくれる。 「今日は、出雲真凛ちゃんが観に来てくれてます」 スポットライトが照らしてくるので、立ち上がって礼をした。 観客が振り向いて、拍手をくれた。 それからは、少人数のユニットやソロで歌う曲、全員が揃う曲など客を飽きさせない。 メンバー、誰のファンでも楽しめるように工夫されていた。 楽しい時間は、あっという間に過ぎる。 最後の曲が始まったところで席を立って、会場を後にした。 「最後まで、見たかった」 「ファンに囲まれたりして、迷惑をかけられないだろう。 静かに去るのも、マナーだ」 田中氏に諭される。 net上では、今日の差し入れが話題になっていた。 聖苑がわざと店名を出してなかったので、ファンが店探しをしている。 メンバー、スタッフ全員に配られたお土産のクリスマスケーキで、那須高原スペキアーリス・リゾートと解答するファンがいた。 それがトピックになり、さらに拡散した。 「一ノ瀬流通グループが使ってる宣伝広告費に比べれば、今日の費用なんて安いもの。 SNSでこれだけ騒がれれば、もう元は取れてる」 「真凜も天才だが、聖苑社長も天才だった。金の使い方が、分かってる」 田中氏が、絶賛してくれた。
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