1/1
前へ
/323ページ
次へ

ガーデンズオフィスの仕事始めは、静かにスタートした。 solemnityの仕事始めに参加して、春物の新作を着る。 店内は春物一色で、明るい色彩で溢れていた。 春木プロデューサーから、連絡がきた。 新年会のお誘いに、聖苑と二人で参加すると返事をした。 日曜日の昼間。 マンションにお迎えのタクシーが来て、赤坂に連れてこられた。 看板も暖簾も出てない玄関の引き戸が開いて、中に通される。 入り口を入ると、カウンターのある和食のお店だった。 メニューや看板の無い店の造りが、高級感を醸している。 プロデューサーが、出迎えてくれた。 「おめでとう、今日も可愛いな」 「明けまして、おめでとうございます。 本日はお招き頂き、ありがとうございます」 聖苑と二人で、頭を下げた。 「堅苦しい挨拶はこれくらいで、みんな待ってる」 2階に宴会場があり、お客様がいた。 三角寛監督や澤田カメラマン、足利プロデューサー、コンサートの演出家など10人くらいのメンバーだった。 席に案内されて座っていると、隣に水無瀬結がやってきた。 プロデューサーが挨拶をして、宴会が始まる。 ふぐ刺しが運ばれてきて、発泡した日本酒が注がれたシャンパングラスが配られた。 「カンパ~イ。今日は無礼講だ、好きにやってくれ」 食事が始まった。 ふぐちりやフグのから揚げなど、贅沢な料理が並んでいる。 何を食べても美味しい。 「真凛は、本当に美味しそうに食べるな」 澤田カメラマンが言った。 「食い意地が張ってるんです」 「だから料理が上手いのかな、今度、豚汁食わせろ」 プロデューサーがやってきた。 「本当はコンサートで、大鍋で作ってスタッフに食べさせたいです。 裏方仕事って、やってみたい」 「そういう真凛の自由な発想が好きだ。 あのレシピで作って、スタッフに差し入れしよう」 「私たちには無いんですか?」水無瀬結が不満顔だ。 「お前たちには、聖苑社長がショコラティエを連れてきてくれるだろう」 「ええ、軽井沢からお店ごと持ってきます」 聖苑が説明している。 「fortunaのメンバー、スタッフ全員、楽しみにしています」 結が即答した。
/323ページ

最初のコメントを投稿しよう!

48人が本棚に入れています
本棚に追加