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「第2位の発表です」 「みんなが衣装を大事に着る」 「私はモデルだから、仕事ではいつも新しいものを着ています。 メンバーは古い楽曲の衣装は先輩の衣装を借りるんですが、それがいい感じなんですよ。 研究生が千鶴ちゃんの衣装を割り当てられて、衣装を大事に抱きかかえていました。 衣装が並んでるのを見たんですが、タグにメンバーの名前があるんです。 選抜に選ばれたメンバーの名前が、衣装に残るんですよ。 それを後輩が、大事に着る。美しいですね」 「古田美那ちゃん、いかがですか?」 「私が選抜に入って、背が高い子の衣装が増えればいいと思います。 私がまだ選抜じゃなかった時、小さめの衣装で苦労したんです」 「遥ちゃん、どうですか?」 「私は選抜に入るまで時間が掛ったので、今でも衣装をお借りする方が多いです。 激しく踊るので、衣装を壊さないように気を使います」 多くのメンバーがうなずいていた。 「お待たせしました。第一位は、何でしょう?」 「やっぱりこのグループのセンターは結ちゃんです」 「私が楽屋とか、メイク室で結ちゃんを見ると、必ず誰かが寄ってくるんですよ。 そして空気が明るくなるんです。 結ちゃんがイヤホンして静かにしてると、皆んなが静かになる」 「周りの空気を支配してるように見える。 本人に意識があるかどうかは知らないけれど、凄いなあって感心してました。 多分、結ちゃんが真ん中にいることで周りも生きる。そんな風に見えてます」 メンバーの皆んなが頷いていた。 「千鶴ちゃん、どうですか?」 「結がいてくれるから、私は勝手なことが出来る。 まだ、卒業後のグループがイメージ出来ないです」 「これは本人に聞いてみましょう」 「センターってみんな憧れるんでしょうけど、辛い事のほうが多いんです。 卒業発表して、随分と気持ちが楽になりました。 中にいると、見えないんですよ。 空気を支配している、そんな気持ちは全く無いけどそう見えてるなら嬉しいですね」 みんな神妙な顔で聞いていた。 「真凛ちゃん、最後に聞きたいことはないですか?」 「私がfortunaに入ったら、最前列で踊れる4位内に入る。スイッチON」 結果は、11vs5だった。 「みんな気を使ってくれて、ありがとう」 無事に収録は終わった。
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