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「fortuna次世代センター、緊急オーディション。 この子も受けます。 オーディションnumber01、出雲沙織」 突然、fortunaのHPにUPされた募集広告にfanは大騒ぎになった。 真正面から撮られた画像は、まるで俺だ。 ややふっくらとした顔の輪郭は、若さを象徴していた。 「募集期間が3日とか、他に取る気がないだろう」 「CGなんじゃねえの」 「出来レースだ」 「コネで入れるのかよ」 もうnetは、炎上が止まらない。 翌日、10秒のテイザー映像が流れた。 確かに真凛に似ているが、明らかに若い。 セーラー服の少女は、サラサラのロングヘア―が風に靡いて初々しかった。 「コネでもいい、すぐに取れ」 「もっとみせろ」 「ここまでして、落とすはず無いよね」 また、騒ぎが大きくなった。 2月の最終週、シーホークのラジオがある。 プロデューサーは、何でも話していいと言うが、自分のことじゃないので難しい。 「今日は月一レギュラーの真凛ちゃんです」 「こんばんは、出雲真凛です」 「まず聞かせて。出雲沙織ちゃんて何者?」 「あら、いきなり」 「いきなりはそっちや。 あんな募集されたら、気になってしゃあないやろ」 鷹山さんが絶好調だ。 「出雲沙織は、私の妹です」 「本物?」 「実の妹です。みんなには見せられないんですが、家族写真をお二人に見てもらいます」 「ああ、ホンマや」 「それにしても、美男美女の兄弟やな」 「お母さんが、また美人さん」 「家族の話はそれくらいで」 「どうしてこうなったん?」 「妹が他のオーディションを受けるって、言い出したんです。 芸能界の厳しさを教えようとfortunaの研究生公演に連れて行ったら、スカウトされました」 「真凛ちゃんと同じくらい可愛いもん。そりゃ、スカウトされるわ」 「私は妹だから、全然ないと思ってました」 「今はオーディション待ちなん?」 「そうです。 そのまま入れって言われたんですけど、オーデション無しは裏口入学みたいでおかしいって私が言いました」 「それでああなった?」 「やり過ぎですよね、ヘイト集めそうで怖いです」 「まあ、アンチはつくわな」 「御手柔らかにお願いしたいです」
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