14話:作戦会議

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14話:作戦会議

<side:ヒスイ> 「さて、ヒスイくん。作戦会議を始めようか」  本部長の言葉の意味が分からず、俺は戸惑いながら聞き返した。 「あの、何の、作戦会議でしょうか……?」 「君の」 「私の?」 「そう。君をこっそり奥井澪に出会える状況に転生させる為の悪巧みだよ」 「は? まさかそんなこと……」 「できる」    俺の言葉を遮るように、本部長がそう言い切った。 「だがその前に、まずは私の昔話でも聞いてもらおうかな」 「え?」  一向に状況が見えず困惑する俺の前で、本部長が何かに思いを馳せるように目を細めた。 「私がまだ若手だった頃はね……。下界では今よりずっと多くの戦争が起こっており、天使協会のお迎え部隊は混乱を極めていた」  まだ仮死状態の人間を間違ってお迎えにいくミスが、頻発していたという。  本部長はその頃から討伐本部の所属だったが、多くの同期がお迎え部隊に所属していたようだ。 「その時、私の親友がね。下界の若い女性に恋をしたんだ」  まるで、俺と同じ状況だ。 「当時の私は、親友が堕天使にならないように必死に説得したよ。それは、天界の禁を犯す事になるのだと」  目を伏せていた本部長が、静かに俺を見据える。 「でもね。その親友に言われたんだ。『俺はこの心を罪だと思っていない。この想いを、罪だなんて思わない。だから俺は胸を張って天界を去る』と、真っ直ぐな目で言われてね。そこまでの覚悟を知った私は、どうにかして親友を想い人の元へ転生させる方法はないかと探した」  本部長が、今度は悪い大人の目をして笑う。
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