ずっと欲しかったもの

1/2
3158人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ

ずっと欲しかったもの

「詩音」  愛おしげに名を呼ばれ、稀一の逞しい腕に抱き締められる。顔の角度を変えて先程よりも深く唇が重なり合った。 (気持ちいい……)  口の中に稀一の熱い舌がぬるりと入ってきて詩音の舌を搦めとる。目を閉じ、その熱に身を任せると信じられないくらい気持ちが良かった。  自分がずっと待ち焦がれていた熱を与えてもらえて、嬉しくてたまらない。 「ふぁ……っ」  夢中で舌を絡ませあいキスに没頭していると、稀一の手がまた胸に伸びてくる。不意に胸の先端を指先で弾かれて、唇の隙間から甘い喘ぎが漏れ出た。  その途端、稀一が唇を離して楽しそうに詩音を見つめてくる。男の欲を孕んだ瞳と視線がかち合った瞬間、背中にぞくぞくとしたものが走った。 (やだ、どうしよう。嬉しいけど怖い……変な気分だわ) 「可愛い」 「んぅ」  熱い息を吹きかけるように発せられた声が鼓膜を揺らす。詩音がたまらず右手で彼の腕を掴むと、今まで胸を揉んでいた彼の手が詩音の体の曲線をなぞった。 「ひゃっ」  ぞくぞくして身を捩らせた次の瞬間、ボタンが外されて全開だったシャツワンピースがするりと奪われてしまう。ギプスを装着していても着脱をしやすい服を選んだせいか呆気なかった。  ワンピースが床に落ちる音がやけに耳に残って、詩音は恥ずかしさから胸をそっと隠した。すると、彼にその手を掴まれる。 「き、稀一さっ」 「詩音。俺、手で体を隠すの禁止って言ったよな」 「ご、ごめんなさい。でも……」  咎める声音から逃れるように目を伏せると、稀一がその手を退けて胸にキスを落とす。乳房を持ち上げ、熱い吐息が吹きかけられる刺激に身を捩ろうとするが、下肢を跨ぐように稀一が伸し掛かっていて動けない。 「あっ……ああっ」  舌先で舐め転がされ吸い上げられて息が上がる。生まれて初めて感じる快感は詩音を戸惑わせた。が、同時に嬉しくも思う。  稀一と抱き合えているという事実は詩音を幸せにしてくれる。 「詩音。全部俺に任せて」 「はぅっ」  そう言った稀一が胸の先端にしゃぶりつく。強く吸われているわけじゃないのに、詩音の胸の先端はぷっくりと立ち上がり赤く染まっている。  もう片方の胸の先端も同じように吸われて、もっととねだっているみたいに主張していた。 (やだ、私ったら……) 「ふぁっ、ぁ…… 」  自分の体の変化に戸惑ってしまう。が、それすらも呑み込まれてしまいそうなくらい次々と快感に染められていく。  まるで胸の先端が下腹部に繋がっているように、吸われるたびにお腹の奥がズクリと疼いた。  稀一は詩音の胸を好きなだけ味わったあと、体を少しずつ下にさげてきた。舌で正中線を辿りお臍にキスを落とし、ショーツに手をかける。その彼の手に――次にくることが予想されて体を強張らせると、稀一が顔を上げて詩音の頭を撫でてくれた。 「怖いか?」 「少し。でも大丈夫です」  にこっと笑いかけると、稀一も微笑み返してくれる。そしてショーツをするりと抜き取り、詩音の膝を立てて脚を左右に開かせた。露わになった詩音の秘めどころに舌を伸ばして花弁を割り開く。 「や、やだっ」 (そんなところ舐めないで……!)  突然、秘裂を舐め上げられて悲鳴を上げる。彼の頭を右手で押してジタバタと暴れると、彼が顔を上げた。 「なぜだ? 全部俺にくれるんだろ?」 「ひゃぁ、んっ」  返事をする前に蜜口にふっと息を吹きかけられる。  あふれ出る愛液を舐め取り花芽に吸いつかれると、大きな快感に背中が仰け反った。 (やだ……なにこれ。こんなの知らない……) 「あっ、んんぅ……やぁ」  舌先で花芽を嬲られると、腰が浮く。稀一は硬くなってきた詩音のそこを次はこりこりと強弱をつけながら捏ねまわしてきた。 「ふぁ、あっ……やだ、やぁっ」  お腹の奥に重い何かが溜まっていく。感じたことのない感覚に脚を寄せて、これ以上触らせないようにしたいのに脚の間に稀一の体があるから叶わなかった。 「ひゃあっ、ああ……ま、待って」  稀一の頭をぐいぐい押すと彼は上体を起こして、「可愛い」と笑った。そして宥めるように詩音の額や瞼にキスを落とす。 「もう少し頑張ろうな」 「で、でも……もう充分です」 「ダメだ。全然足りない。言っておくが、ちゃんと慣らさないと痛いのも辛いのも詩音なんだぞ」 「だって変なの。気持ちよくて自分の体じゃないみたいで……」  どうしたらいいか分からなくて彼の胸にぎゅっと抱きつく。すると、彼がふっと笑って頭を撫でてくれた。おずおずと顔を上げると、にやついた彼と目が合う。 「変になればいいじゃないか。もっと乱れた詩音が見たい」 「きゃあっ!」  そう言った彼は胸の先端に吸いついた。  胸の先端を舐めながら、下肢のほうに手を伸ばし花芽に触れる。愛液を纏った彼の指がぬるぬると触れる感覚に詩音は背中を弓なりにしならせた。 「ああっ! やっ……き、きいち、さんっ」  両手を伸ばして彼の手を掴んだ瞬間、蜜口につぷっと稀一の指先が入ってくる。その感覚に思わず力が入ると、「大丈夫。痛くしないから力を抜いてくれ」と言いながら、額や頬、唇に宥めるようなキスをくれる。  その声がとても甘やかで、詩音は小さく息を吐いて体の力を抜いた。 「いい子だ。ゆっくりするから」 「は、はい……あっ、ああ」  ゆっくりと稀一の指が中に入ってきた。  押し広げるように出し挿れされると、違和感や圧迫感を凌駕する気持ちよさがあった。 (なにこれ、やだ。気持ちいい……)  稀一の指が中を広げるように動くたびに、とろみを帯びた愛液が滴って、彼の指と手を濡らした。  全身が熱を持ってしまったかのように熱くてたまらない。まるで内側から火をつけられたみたいだ。 「あっ、ああ……」  腰が勝手に浮いて、体が勝手に跳ねる。膣内が蠕動して、彼の指をきゅうっと締めつけた。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!