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その夜、ランプの明かりのみが灯る山小屋にて、生まれたままの姿で二人は向き合った。
「あの……。わ、私、実はこういうの初めてで……」
「それはとても光栄です」
ランプの火が消え闇に包まれる室内。
そして二人は、ひとつになった。
カチッ
「………………え?」
頭の中で、音が聞こえた。
瞬間、曖裏の身体に変化が起こり始める。整った顔立ちは崩れ、シミが浮かびシワが刻まれていく。まるで止まった時を数倍速で早送りしているかのように、身体はどんどんやつれ、艷やかだった黒髪は白く染まり、これまで培ってきた知識や記憶がどんどん失われていく。
「あ、あああああ……」
「あ、曖裏さん? 痛かったですか?」
何も見えない温田には何が起こっているのか判らない。
薄れ行く意識の中、曖裏の心は歓喜に満ち溢れていた。
ありが、とう…………。ようやく私……人に、もど、れ……た…………
素一致 終不
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