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「でさー、昨日配信したら視聴数千人いったんよ」
「うちも見てたし。投げ銭の数もヤバかったよねー」
「うちらがコラボしたらもっとヤバいことになるんじゃね?」
その日、いつものように空席の机に腰掛け談笑する女生徒達。その背後に、気配を感じた。
振り向くと爛々と光が宿る瞳と目が合う。まるでアプリケーションで加工を施したかのような美少女がそこに立っていた。
「ちょ、誰アンタ。クラス間違えてね?」
「てか、かわい……」
「スタイルだってヤバくね?」
女生徒達の視線は、自然と美少女の持つカバンに向けられた。
「その、ダサいマスコット……」
「は? さ……冴、梨?」
無言で今まで空席だった席に座る美少女。それは自分が冴梨曖裏と認めた瞬間だった。
しかし女生徒達は認めなかった。
「えーと。冴梨? どうしちゃったわけ?」
「イメチェンしてコンタクトにしたん? つか眼鏡取ると美人になるってベタ過ぎるっしょ」
「いやイメチェンってレベルじゃないし。むしろ整形レベルのチェンだし」
「体型だってヤバいくらい違うし! つか誰だし!」
と、からかい、嘲笑う女生徒達に、
「やっぱり……。私の目がおかしくなったわけじゃないんだ」
曖裏はボソリと口を開いた。
「は? なんか言った?」
「つかなにその美声」
「もう完全に別人だし」
これ以上茶番には付き合えないと、女生徒から笑みが消えた。
「なにアンタ。冴梨に代わりに登校してって頼まれたわけ?」
「いやさすがに無理があるって。秒でバレるって」
「同じなのはそのダサいマスコットと三つ編みだけ。冴梨のやつもあんたみたいな美人よりもっと似てるやつに頼めばいいのに」
事情を話してもどうせ信じてもらえない。そう判断した曖裏は頭の中で昨日の出来事を思い返した。
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