第一話「地面が揺れるような出会い」

3/10
5人が本棚に入れています
本棚に追加
/116ページ
「わたしは郵便配達のエマです。あなたは、どちらさま?」 「俺様はクラウスだ。月から来た」 「月」  まあ、とエマは口に手を当てる。だから上から降ってきたのだと納得する。 「どうして月から来たんですか?」 「探し物をしている。わざわざ王子であるこの俺様が降りてくるのは非常に珍しいことだ。喜んでいいぞ」 「王子様、なんですか?」 「ああ。どうだ、すごいだろう」  腕を組んで得意気に身体を反らすクラウスを、エマが不思議そうに見つめる。
/116ページ

最初のコメントを投稿しよう!