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「朝の分は終わりですね」
バッグの中を確認しながら呟く。そして職場でもある自宅へ戻ろうとした。しかし晴れた空から唐突に影が差し、エマは真っ青な空を見上げた。
「ん?」
何かが飛んでくる。エマは目を凝らした。その何かは、一直線に勢いよくエマの方へ飛んできていた。それを認識し、慌てて後ろに下がる。大きな音をたて、地面が揺れた。道に穴が開き、砂埃が舞った。
エマは慌てて穴を覗き込んだ。砂埃で何も見えない。またしても目を凝らす。
「……人?」
「だぁー!」
立ち上がったそれは、大きな声を上げた。エマはびくっと身体を揺らす。夜空のような色の瞳が向けられる。エマはそれと目が合った。
「……誰だ、貴様は」
「それ、どちらかというとわたしの台詞ですが……」
エマは困惑したように眉を下げ、改めて笑顔を見せる。
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