第一話「地面が揺れるような出会い」

5/10
4人が本棚に入れています
本棚に追加
/116ページ
 鼻歌をうたいながら、エマはポットを傾ける。お気に入りの花の香りが広がり、思わず口角が上がる。紅茶とお菓子をテーブルに置いて、エマはクラウスの前に腰掛けた。 「どうぞ、召し上がってください」 「ありがとう。意外と気が利くんだな」  言いながら紅茶を口に運ぶ。それをテーブルに置いて、真っ直ぐにじーっと自分を見つめるエマの姿に気が付く。一瞬眉をひそめるが、すぐその意味に気付いた。微かに目を逸らし、「美味い」と小さな声で伝える。エマは満足そうに笑った。 「それで、王子様。夢の欠片とは何ですか?」 「星だ」 「星、ですか?」
/116ページ

最初のコメントを投稿しよう!