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「でも、わたしお仕事がありますし」
「なんだ、その仕事というのは」
「郵便配達ですよ。想いのこもったお手紙を、皆さんのお家へお届けするんです」
バッグを見せながら言うと、クラウスが乱暴にバッグの中に手を突っ込む。そして手紙を一通取りだすと、嫌そうな顔で眺めた。
「こんなものを届けているのか」
エマはむっとしたような顔をして、手紙を持つクラウスに向かって手を伸ばした。
「こんなものって言わないでください。大切なお手紙なんです」
伸ばされた手はクラウスに避けられ、手紙を取りかえすことに失敗する。クラウスは目を細めて手紙の住所を読み上げる。
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