月夜

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「周りにいられる方々はよろしいのですか?」 と先程から気配を感じていた優之進が聞くと、 「かまわぬ」 と言って、立ち上がったので、 「こちらです」 と優之進も立ち上がり歩き始める。 「そういえば名を聞いてなかった」 と聞かれたので、 「平川優之進です」 と答えると、 「平川」 と言ってから、 「江戸に若いが強い剣士がいると聞いたことがあるぞ。 そなたのことか」 と言い、 「余は」 と言ったので、 「お名前は分かります」 と優之進は、慶喜に向かって笑顔で言った。 「こちらでございます」 家に着いた優之進は、家の中の灯火を点していき、 「今お茶をいれてきますのでこちらでお待ちください」 と台所の方へ向かう。 綺麗に掃除してある部屋に慶喜は座り、部屋の中を見まわし、 (何一つ無駄な物がない) と感じた。 「昼に団子をいただいたので食べてお待ちください」 と優之進は、お盆に3組のお茶と皿にのせた団子を持って部屋に入り、慶喜の前に1組置くと、襖を開けて、外に向かい、 「お供の方々もどうぞ召し上がってください」
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