スライムテイマーだった少年は、初恋を拗らせて人類王になる。

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「楽しそうだなぁ、おい」  現れたのは夕焼けを背にカラスの群れを従えて、プラチナブロンドの髪をマントのように翻している、自分たちと同年代の女の子。  ピンクの瞳を持つ愛らしい容貌は、侮蔑の感情で冷え切って、学生服に身を包んだ小さな体からは、周囲を威圧するほどの怒気があふれている。 「あ、お前は、伯爵家の」 「うるさい。だまって、(つつ)かれろ!」  ギャアアアアアッ!!!  カラスと子供たちの悲鳴が夕日の中で混じり合う。  あまりにも突然すぎる展開に、ウィリアムは呆然とした。  そして。 「お前、私の婚約者になれ」 「え?」 「聞こえなかったか? 恩人に対する、態度じゃないぞ」 「え、あ、はい。ごめんなさい」 「私はシャーロット・カートレット。伯爵家の長女で、一応君と同じクラスメイトだ」 「ぼ、ぼくは、ウィリアム・V(ヴォーン)・バンテッド……です。あの、助けてくれてありがとうございます。お礼を」 「うん。そのお礼が、カートレット家への婿入りだよ。私は君を歓迎する」 ――優しいシャリー。  初めは同情だったのかもしれないけど、僕はとても救われたんだよ。
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