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真っ暗な家に帰ると、電話のランプが点滅していた。
留守電が録音されているようだ。
義彦はすぐに再生ボタンを押した。
「お父さん? 定年退職おめでとう! 本当に今までお疲れ様でした。明日はそっちに行ってみんなでお祝いするから、そのつもりでいてね! 今日は飲み過ぎないようにしてよ。じゃあ明日ね!」
電話は娘のすみれからだった。
すみれはさゆりとの間に生まれた一人娘で、
今は結婚して夫の隆志君、そして孫の隆之と三人ですぐ近くに住んでいる。
明日は三人でお祝いをしてくれるようだ。
義彦は娘の気遣いが嬉しかった。
明日はきっとご馳走だから、
今日は焼き鳥で軽く一杯やろうと思い、
焼き鳥とビールを用意して、義彦は仏壇の前に座った。
もちろん、妻の分のビールも用意した。
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