私と私

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あっ、雨だ。 雨が降る前は、必ずわかる。 雨が今から降るよ、と、誰かが囁く。 雨の匂いもしてくるから。 新しい長靴を履いて、傘を持って外へ、 こっそりと出てみた。 ドアの向こうから、 風邪ひくから遠くへは行かないでね、、と、母にはバレている。 雨が降ると、なんだか世界が変わった気分になる。 水たまりに、わざと入ってみるが、長靴だから怖くない。傘をさしてハンドルをクルクル回しながら、水たまりに映る自分に話しかけてみた。 貴女、私に似てる。可愛いって言われるでしょ?なんて言って直ぐに、勝手に照れる。 貴女の名前は?答えてくれない。何処に住んでるの?やっぱり答えは返ってこない。 無口だね。私ばかり話していて、ごめんね。 なんだか、水たまりに映る子が笑ってくれた様に見えた。 また、雨の日に会いましょうね。と伝えて手を振ると、水たまりに映る子が手を振り返してくれる。外が暗くなってきて、周りに人もいないし、寂しくなって帰宅した。 何処に行ってたの?と、にやけた顔をした私に、母も笑顔で返してくれた。 あのね、、、 空高く違う世界で、あの水たまりを覗き込む 少女がいた。あの子、雨が好きなんだね、と少女は、父にポツリと呟いた。 うん、きっと、あの子は夜空と月も好きかもね、、、と小さく返した。 私は地球へ行ってみたい。 どんな星なのか、楽しい事が待っていると思う。行ってみてはダメですか? 少女は、トキメク気持ちが溢れそうで、必死に父を説得していた。 地球へ行くのであれば、決め事をして、約束を果たさなければ、ここへは戻れなくともよいのか?と寂しそうなお顔で、父は云う。 どんな決め事でも、覚悟の上。約束を果たして戻って来ます。と満面の笑みで答えた。 よくよく考えて地球の日本という国の両親を決め、何をしに行くかを決め、地球へ旅する日を迎えた。 地球の、あの、水たまりを覗き込んでいた少女が自分とは知らずに、、もう1人の自分と、月夜の遭遇をする日が来るなんて考えもせず、少女は、父と約束をして地球へ舞い降りた。 その日は、3月の半ばなのに、寒い雪の日だった。
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