エリート建築士は傷心した彼女を愛し抜きたい

ーー

『悪い。忙しくて連絡遅れた。風邪ひいてちょっとダウンしてるからしばらく会えないわ』

　そうだったんだ……。

　仕事が忙しくて体調を崩してしまったのだろうか。もしかしたらちゃんとご飯を食べていなかったのかもしれない。樹生は忙しいとカップラーメンばかり食べて野菜を全く取らないから。

『大丈夫？　何か必要なものがあったら買っていくよ』

　すぐに返信をしたが既読にはならなかった。もしかして熱でも出して寝込んでいるのかもしれない。

　樹生の様子、見に行こうかな……。

　それに、今日は一人でいたくない。一人でいると今日の事を思い出して泣きそうになる。きっと色々と余計なことまで考えてしまいそうだ。菜那はスマホを握りしめてスーパーに向かって歩き出した。