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 エコバッグに卵やネギ、しばらくの作り置き料理を作れるようにある程度の食材を買って樹生の家に向かった。あまり使うことのない合鍵が自分のアパートの鍵と一緒にぶら下がっている。樹生のアパートの鍵を選び、玄関を開けた。 「樹生? 大丈夫?」  え――?  入ってすぐに目に入ってきたのは女物のヒール。一瞬自分のものかと思ったがピンクベージュの可愛らしい色のものなんて自分は持っていない。ドッドッドッドッと心臓が痛いくらいに早く動き出した。  お、お客さんが来ているのかもしれないし……。  そっと息を呑んで一歩一歩進んでいく。リビングに入っても樹生の姿は見当たらない。残るはリビングの隣にある寝室だけだ。でももう分かり切っている。寝室から漏れてくる女の甘い声に気が付かないはずがない。  で、でも、もしかしたらAVでも見てるのかもしれないし……。  なんて現実逃避をしようとさえ思ってしまう。あん、あんと聞こえる声に樹生の声も交えて聞こえてきた。  あぁ、これは現実なんだ……。  力ない手で引き戸を開くと二人で一緒に何度も寝たシングルベッドの上で樹生が必死に腰を振っていた。
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