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 玄関に入り、蒼司に抱き寄せられながらもつれるように寝室へ流れ込んだ。 「そ、蒼司さんっ、ちょっと待ってください」 「もう待てないって言いましたよね?」  少し焦っているかのように聞こえる声。蒼司は菜那を自室のベッドに組み敷き、勢いよく服を脱いだ。見惚れるほどの美しい身体に思わず息を呑む。頬を撫でられ、甘い空気に一気に溶けてしまいそうだ。 「やっと手に入れたんです。もっと菜那さんのこと教えて」 「あっ……ん……」  蒼司の官能の籠った瞳が近づき、菜那は自然と瞳を閉じた。三回目のキス、唇の柔らかさに翻弄されるがまま、熱い舌を受け入れ自らも絡みつく。酸素が足りなくなり、段々苦しくなってきた。けれどその苦しさは高揚感からくるもので、身体は全く悲鳴を上げない。むしろもっと、もっとと、その先を求めてしまっていた。 「んんっ……っはぁ……」  ゆっくりと離れていく唇。その間には銀の糸がいやらしく菜那と蒼司を繋いでいる。蒼司の視線は菜那の胸元に移り、一つ一つ丁寧にワイシャツのボタンを外していった。菜那はその光景をただただバクバクと心臓を鳴らして見つめていることしか出来ない。まるで自分がプレゼントになったような気分だ。ゆっくりと、丁寧に包装を剥がされているように、ワイシャツが肩からするりと抜け落ちる。下着が透けては困ると思い、仕事中に愛用しているカップ付きのキャミソールもスルリと脱がされる。肌が露になった菜那を蒼司はうっとりとした表情で見下ろしていた。 「菜那さん、凄く綺麗です」 「やっ、恥ずかしいのであまり見ないでください……」  両手で胸元を隠した。セックスは初めてではないのに、身体が燃えだしそうになるほど恥ずかしさで熱くなっている。 「もっと俺に菜那さんを見せて。この目に貴女を焼き付けたい」
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