さよなら、壊れた僕の哀しいせかい

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   僕の男性器はひどく退化していて、自分自身の力で誰かを妊娠させる機能は、ほぼない。  基本的に、オメガ男性のペニスはそう大きくないけれど、僕の「モノ」は、おそらく平均よりもずっと小さいと思う。  でもそれでも、射精はする。    精液を「売る」といっても、さすがに「道端の露店」で売りさばくってワケにもいかない。  そもそも「買う」方だって、やむにやまれぬ、どうしようもない「事情」があると相場は決まっていて。  どうしたって「取引の仕組み」ってヤツが必須だった。  そして、そんな「上手いやり方」など、クズ人間の僕に思いつくワケもなくて。  だから結局、僕は「ある男」に、それを託す羽目になった。  っていうか、その男に「搾取」されている……というのが正確かな。  利用されている。  つまり「飼われてる」ってことだ、死なない程度に。 *
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