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「いくら、アルファ性やオメガ性の子供が欲しいからって、僕のザーメンで妊娠したら、それって『夫婦』の子供じゃないってコトになるよな? そんなんでさ、色々、大丈夫なのかな……」
素朴な疑問を口にした僕に、ショーマはこう返した。
「別に、どこの馬の骨の種だろうが、その家の人間が孕めば『それでよし』ってコトなんだよ」
「?」
「アルファの跡継ぎが欲しい家ってのは、結構あんだ。なかなか生まれねぇからな、普通は。で、誰の種でもいい、そこン家のベータの娘でもなんでも、家のモンが孕んでな。とにかくアルファを生んでくれれば万事解決でよ。そいつが『家継ぎ』だ。アイツらはそういう理屈で生きてやがるんだよ。まず、オレらとは『かけ離れた世界』だな」
「ふうん」と呟く僕を、「ケッ」と、ショーマはあざ笑う。
ガラの悪い口調のとおり、ショーマは筋金入りの「チンピラ」だ。
もとは「ヤクザ」だったんだろうけど、昨今の取締り強化のあおりで、組がバタバタ解散して、「野良犬」になっちまったたぐいの男。
僕のザーメンを売る男。
たっぷり過ぎるほどの上前をはねて。
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