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練習
その日から、俺たちは猛練習を始めた。
何度もやるうちに、流れがつかめてきた。
最初は若者だけで舞い、途中から龍神が現れて2人の舞になる。この時、同じ動きだとやりやすいけど、左右対称の部分は難しい。
龍神が去った後、若者が天に感謝を伝えて舞は終わりだ。
祭が近づくにつれて練習の回数も増えてきた。
帰りは父さんが迎えに来てくれていたのが、行きも送ってくれるようになった。2人とも母さんに言われて黄色い反射タスキをつけている。
「車、めったに通らないのにね」と俺が言うと、父さんが「暗いから母さんも心配なんだよ」と言った。
確かに、暗くなるのが早くなってきた。
朝も寒い日がある。颯太は長袖を着てくるようになった。「半袖でいつまで過ごせるか」と強がることはしないらしい。
「昼は暑いじゃん」と言うと、
「暑くなったら腕まくりすればいいよ」
なんて、颯太はすました顔だ。
「哲也、風邪ひいたら祭に出られないよ」
それは確かにやだなと思って、俺は翌日から長袖を着てくるようになった。
そのうち11月になり、祭はいよいよ来週に迫ってきた。
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