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次の日、晩ごはんの時に俺は思い切ってじいちゃんに話しかけた。
「じいちゃん、当日見に来るんだろ?
颯太も頑張るからさ、俺だけじゃなく颯太も見てくれよ。
俺たち、一生懸命練習してるんだ」
煮物をつまんだじいちゃんの箸が止まり、「ああ」と生返事が返ってきた。乗り気ではないようだけど、「舞は6時半からだったな」と確認されて嬉しくなった。当日きっと見に来てくれる。
来てくれれば、颯太がすっかり村の子だって、じいちゃんもわかるはずだ。
颯太はもう、川に飛び込めるし、食べられる木の実も、カブトムシが集まる木も知ってる。
龍神の舞だって、立派にやってみせるよ。
祭の前日、俺たちは神社の舞台で本番さながらに舞った。衣装も着て、俺は龍神の面もつけた。
視界は限られているけれど、演奏が始まると思ったより体が動いて安心した。立ち位置を確認して、「がんばろうな」と颯太と言い合う。
さあ、いよいよ明日だ。
わくわくしながら布団に入った俺は、翌朝気持ちよく起きるはずだった。
「……あれ?」
変だ。目覚ましに起こされる前に目が覚めた。それだけじゃない。頭が重い。ぼうっとする。部屋の空気がひんやりしている。
俺はおでこに手を当てた。
すっごく熱くなっていた。
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