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そして、7日目。結果発表と解散式の日を迎えていた。朝、とても良い目覚めだった。ツチノコを僕達は見つけたのだ。
後は、それを団体の前でお披露目してヒーローとなり大金を貰うだけだった。
「え?あれ!?」
僕は誰よりも朝早起きをして、彼に挨拶をしようと思った。しかし、彼が居ないのだ。こんな小さな籠にいれていた。見つけられないはずがない。一緒に入れた枯れ木とか小さな葉っぱで隠れているのか、それこそ土の中に潜っているのか。いいやその気配すらない。
「ツチノコが逃げた、、?」
大変だ。なんてことだ。みんなを起こさないと。
僕はみんなをすぐに起こして、ツチノコがいなくなっていることを伝えた。みんなの反応は驚きと悲しみだった。
「ごめん僕がずっと寝ずに見ていれば、、」
「いいのよ。別に。それに、他に見つけられたものがあったでしょう」
「確かにそうだね。でも君にもあったの?」
僕は遠野にそう聞いた。遠野だけはまだ発見できてなかったからだ。
「今朝、親から電話があってツチノコよく見つけたなって。迎えに来てくれるみたい」
彼女は泣いたような顔で笑って言った。
「それは良かった」
僕は、大きく頷いて笑った。みんなはツチノコが消えて悲しんでいたけど、僕は消えてよかったと思った。人間はあるものを安心する毎日を送るより、無いものを追いかける方がイキイキする。それは青野さんが教えてくれた。
僕は、仲間の絆というツチノコよりも大事なものを発見した。そしてみんなもそれぞれ目に見えない大事なものを発見した。それで良かったのだ。
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