ツチノコの発見

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ニュースは宝くじの話題から一転し、いきなりオカルトのUMA探しに移ったと思いきや、なんと今ではそれを見つけた人に多額の賞金が貰えるという宝くじ的な話題で、少し繋がりのある内容だった。 なんでも、あの都市伝説上の生き物、ツチノコを見つけたら賞金1億円。そして、その見つけるイベントが大体的に一週間、団体で行うらしい。そのある村といえば、あの世界遺産で有名な白川村だった。 「どうしたの、そんなに大声出して」 「ママ、僕これに参加するから、一週間家空ける」 僕は、退屈な日常を変えるために参加することにした。昔、白川村に住むおじいちゃんからツチノコのことはよく聞かされていた。それだけに、僕には捕まえる自信があったのだ。 2ヶ月が経ち、イベント当日になった。今僕が住んでいる家から、車移動だ。もちろん僕は免許を持っていなかったので、ママの運転でここまで来た。この村に来るのも、おじいちゃん家に遊びに行った時以来で、5年振りくらいだ。 久しいが、あんなに寂れていた村が、余所者と言ってはなんだがそのような人々で埋め尽くされ、活気づいていた。 これも、政府が用意したツチノコイベントの効果で、村を発展させる意図もあるのかもしれない。 ツチノコイベントの参加者は、4から7名程度のチームに分けられる。そして、そのチームでツチノコを一週間協力して探すのだ。 周りを見ると、他の参加者達は、どうやら有料バスで来ていたようだ。まあこれだけ辺境の地だからほかの交通手段は自力の運転で来るしかないからそうなるだろう。 チーム分けは、どうやら現地のクジで行われるらしい。くじを引く列は長蛇となっており、並ぶのにテーマパークのアトラクションレベルで時間がかかった。クジはアルファベットでSと書かれていた。Sと書かれた大きな看板のたつ場所を探して歩き、その看板の前に行くと、もうそこには数人集まっていた。僕が行った途端に、イベントの係員は、何か手に持ったバインダーに挟んだメモに記入し、号令した。 「よし、S班揃ったね。君たち6人が今日から一週間ツチノコ探しの冒険を共にする仲間たちだ!」 その言葉と共に僕は、周りを見渡した。僕を含めた年齢性別バラバラの6人が互いに見合っていた。 「キャンプの場所とツチノコの出現情報があった森へ案内する。着いてきてくれ」 言葉通りに僕らは案内された。大きな広いキャンプ上へ行くために山道を数分歩いた。その途中、山道の下を流れる大きな川など雄大な自然を味わった。 「ねえ、あなたは、なんのために参加したの?」 案内の途中、一人の見た目が清楚で落ち着いたチームメンバーの女が話しかけてきた。僕よりも少し歳上に見えた。 「なんのためにかぁ、暇つぶし?」 「そう、、私は、家族に、私を見つけてもらうため」 「どういうこと?」 「理解できないのならそれでいいの」 そう言って、前の方へ歩いていってしまった。 僕は、適当に答えすぎてしまったかと後悔した。
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