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4日目、改良版小田式ツチノコ捕獲トラップはまたもや不発した。そして、またもやコテージでの会議が始まった。
「小田くん、どういう事?あなたのトラップがダメなんじゃない?」
遠野はそう、小田を問い詰めていた。
僕は気づいていた。小田式トラップには足りない部分があることを。
みんなが、手を焼く中、菊地が僕に迫ってきた。
「おい、萩原。お前、俺たちになにか隠してるだろ?」
「え?どうしたの急に」
僕はとぼけたように菊地に聞き返した。
「気づいてないとでも思ったか。お前の表情見てたらわかる。何か隠してる顔だ」
「萩原くん、教えて。他になにか方法はないの?」
「じゃあ前提として、まず、ツチノコは全長30~80cmででかいヤツもいるんだだから落とし穴じゃはみ出してしまうやつもいる。だからでかい檻のトラップじゃないと。あと、ツチノコは意外と肉食なんだって言われてる。だからネズミやカエルの声を録音した音声を流してなんでもいいから肉を餌にするべきだ」
「す、すげぇ!萩原!お前やるじゃん!」
「まあ、これはおじいちゃんの受け売り、」
「でも、なんでそれを先に早く言わねえんだよ!!」
菊地にバンと背中を叩かれて、僕の言葉は途中で止まった。
僕は菊地を勘違いしていたかもしれない。他人に気を使えず、周りが見えていない人間だと思っていたが、そのむしろ真逆だったのだ。
「菊地。意外と周り見れててリーダーに向いてるんだな」
「お前ほどじゃねえよ。お前もチームワークのために黙ってたんだろ」
「じゃあ、みんな集めて伝えてくるわ!んじゃな!」
菊地はそう言って、みんなのもとへ駆けて行ったかと思うと急に立ち止まり、そして、言った。
「あ、あとお前、俺の親友になれ!俺、親友欲しかったんだ」
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