第三十二話

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 短い期間過ごしただけとはいえ、この世界には見覚えがある。  だが、何故滅んだはずのジーナの世界が存在しているのか…。  何故かは分からないが真琴は見えない恐怖に襲われ手足が震えるのが分かる。  それでも…  真琴はジーナに伝えないといけない事があった。 「ジーナ。キテラさんの事だけど…」  真琴がキテラと言う名を出すとジーナの表情が陰る。   「キテラさんは無事だよ…偶然僕達の世界に飛ばされて今はマアラの屋敷にいるから安心して」 「本当か⁉︎」  キテラの無事を知ったジーナの表情はパッと明るくなった。  心の底からキテラの無事を祈っていたジーナの想いが伝わって来る。  キテラもジーナの事を心配していた。  だから。   必ず元の世界に戻って、キテラにジーナを会わせてあげるんだと真琴は決意する。
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