第三十二話

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 顔が青褪める真琴にジーナは安心させる様に真琴の頭をポンポンと優しく叩く。 「心配するな。二人なら何とかなる。方法を考えよう」  そう言って穏やかに微笑むジーナを見ていると心強く思う。 「うん。絶対に元の世界に戻ろうね」  真琴は気合を入れる。  ジーナもここに一人きりで居た時は全てを諦めてしまっていたが思いがけない真琴の登場でしかもキテラが無事だと言う事を聞き、無気力だった感情がふつふつと湧き上がって来た。  真琴はとても優しい。  今この状況で自分も不安なはずなのにジーナの心配をしている。  状況は圧倒的に不利だが二人なら何とかなるかもしれない…そういう期待をしながら歩き続けるとジーナの城が見えて来た。  門番も誰もいない。  あまりの静けさに急に不安が込み上げて来る。 (マアラ……必ず帰るから…)  真琴は両手をギュッと握り締めて心の中でマアラへと誓う。
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