第三十二話

10/10
42人が本棚に入れています
本棚に追加
/236ページ
 この嵐の中、外へ行く事も出来ず、真琴はする事も無く外を眺めていた。  特に何が起こるわけでもなく、時間だけが過ぎて行く。  激しい雨風で揺れる大きな木の葉を見ていると真琴は突然、激しい息苦しさに襲われた。 「はぁ、はぁ、はぁ……」  呼吸が上手く出来ず、胸を手で押さえながら真琴が床に倒れ込みそうになった所を気付いたジーナが寸前で受け止める。 「真琴ー!大丈夫か!」 「はぁ、はぁ、はぁ」  真琴はジーナの問い掛けに返事がする事が出来ないくら位に息苦しさが増して行く。  それに手首に刻まれたデモンの印が燃える様に熱い。  真琴は震える手で何とか水晶のネックレスを取り出し、握り締める。   「真琴!真琴!」  必死に自分の名を呼ぶジーナの声がどんどん遠くなって行く。  そしてとうとう真琴は意識を失ってしまった。
/236ページ

最初のコメントを投稿しよう!