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第三十四話
真琴が行方不明になってから、もう何日経ったのだろう…。
手掛かりのないまま、安否も分からず時間だけが過ぎて行く。
朱桜は皆が寝静まった深夜に中庭へと向かう。
テラスのベンチに座り、星空を眺める。
昼間は暑いくらいの陽気だが、下界は夜になると気温が一気に下がり、薄手の羽織ものが無いと少し肌寒い。
創世主の狙いは真琴だ。
災いの元凶は芽を摘む。
それが、創世主の掟…
「災い……か……」
ポツリと朱桜の口から溢れた言葉は夜風に乗って消えて行く。
朱桜は澄んだ夜空を眺め、意を決すると両手を胸の前で組み、呪文を唱え式神を召喚する。
式神にある願いを託すと、式神はそれに応える様にひらひらと朱桜の周りを一回りし、夜空へと消えて行った。
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