第三十四話

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 音は教会に近付くにつれて音は段々と大きくなる。  人の声の様な叫び声の様な悍ましい声に思わず真琴は耳を塞いで立ち止まってしまう。  これ以上、近付くのが怖い。  感受性の高い真琴にとって、この状況は辛いものだろう。  ジーナは真琴の手を取りギュッと握る。 「大丈夫だ。俺が付いているから」 「ジーナ…」  少しでも真琴の不安を取り除こうとしてくれるジーナの気遣いに真琴の心は温まる。 「ありがとう、ジーナ」  教会の中に入るとその声ははっきりと聞こえる位に大きくなる。  怖くても声のする方へと向かう。  教会の地下へと続く階段の下から声が聞こえる。  暗い階段を慎重に降り廊下を進むと重厚な鉄扉が現れた。  真琴が開けようと扉を押すがびくともせず、ジーナも一緒に押すと、ようやく鉄扉はゆっくりと動き始めた。
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