第三十四話

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「ーーーー⁉︎」  中に入った真琴は目の前に広がる光景に言葉を失う。  真琴の隣に立つジーナも驚きを隠せない様にその場に立ち尽くしていた。  10畳程の部屋の奥に大きな水晶で出来ている様な球体が浮かんでいた。  その球体の中には無数の人達が折り重なる様に閉じ込めれて助けを求める様に叫んでいる。  先程から聞こえていた声はこの球体の中に閉じ込められ助けを求める声だったのだ。  呆然とした様子で球体を見ていた真琴だがふと気が付いた。 「ジーナ…この人達…」  真琴の問い掛けにジーナは唇を噛み締めながら頷いた。 「ああ。この城にいた人達だ…」  そう。  この球体に閉じ込められているのはジーナの城で働いていた人達だった。  世界の崩壊が始まり、身を案じていたのだがこんな所にずっと閉じ込められていたなんて…。  見知った顔の人もいる。  真琴に優しくしてくれた従者達も…。 「酷い…」  あまりの状況に真琴は顔を青くして口元を手で覆う。   真琴は涙が滲んでくるが必死で堪える。  辛いのはこの人達なのだ。  自分が泣いている場合ではないのだ。
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