第三十五話

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 ーーパリン。  執務室にある花瓶が突然、割れた。  その瞬間、マアラの胸に何か棘の様なものが突き刺さる。  胸の痛みにとても大切な者を失ってしまったと理解した。 「真琴……」  マアラはその場に崩れ落ちる。  周りにいた従者達は倒れ込むマアラを心配して集まり始める。  ルアンも何かを感じ取ったのだろう。  不安そうな表情でマアラを見つめていた。  異様な空気にその場にいた皆が不安そうにしていた。  一方、中庭にいた朱桜も真琴の異変を感じ取っていた。同じ様に異変に気付いたキアラとキテラが朱桜を探して中庭へと駆け込んで来た。 「朱桜さん……真琴は…」  キアラはそこまで言って、言葉を詰まらせる。  それ以上は言えなかった。  言ってしまったら、認めてしまう事になる。  真琴がこの世からいなくなってしまったと……
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