眠り姫目覚める

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眠り姫目覚める

聖なる血、エルフの血をひく私にとって、闇魔石は猛毒。 膨大な量を吸収すると、下手すると消滅してしまう。 魔力があるこの世界。 火・風・水・地と生活魔法があるおかげで、人間はかなり便利な暮らしが送れてる。 その魔力の源“マナ”は自然界に浮遊していて、それを吸収した生物に魔力が宿り、魔獣、魔族となる。 魔獣、魔族に取り込まれたマナは体内で魔石化し、命を落とすと魔石として体外に放出され、それを人間は利用し、魔法として使っている。 「闇魔石を人の手に渡すわけにはいかないからね。何年、眠ってたのかしら」 魔族のアジトがある魔獣の森と化し人間が入ってこない辺境の洞穴に身を隠し、眠りについていた。 「あれっ!?ここは……どこ」 洞穴で目覚めるはずが、天蓋が付いている豪華なキングのベッドに寝かされていた。 洋服も上質な絹で作られた清楚なネグリジェ。 豪華な調度品が揃えられた広い部屋。 再建された王城の一室なのかもしれない。 エルフと魔族のハーフな私は魔石無しでの魔法と精霊魔法が使える特殊体質。 子孫にこの能力を受け継がさせる目的で、王族側室になんかされたら、たまったもんじゃない。 「ミア、やっとお目覚めになられましたか」 逃げ出そうと立ち上がると、膨大な魔力を含む心地が良い声に背後から名前を呼ばれ、振り向く。 「お加減はいかがですか?」 光の束を集めたような眩しい金髪に瞳が青みかかった綺麗なオパール色の瞳、彫刻のような美しい端正な顔立ちをした高貴な装いの男性が、私に近づいてくる。 あまりの美しさに見惚れてしまう。
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