145人が本棚に入れています
本棚に追加
/43ページ
「まだ魔力は完全に回復なさっておられませんね」
闇魔力の浄化に体内の魔力を全て使ってしまったから枯渇している。
「私が貴方を見つけ出さなければ、消滅しておられました」
目の前に立った美丈夫に下顎を指でくいっと持ち上げられ、美しい瞳と合った瞬間、唇にキスが降ってきた。
「全回復は無理ですが、これで多少はお体が楽になったでしょう。積もる話がございます。ベッドに横になられて下さい」
魔力切れの私に対し、貴族と思しき男性が相当な量の聖魔力を吹き込んでくれた。
「あ、貴方は誰ですか!!王族……なのですか?私をどうするおつもりですか!」
王家や貴族は魔族討伐後、魔力が枯渇した勇者を捕獲し、魔力を持つ子孫を作るための繁殖に使用する。
勇者はマテを吸収できる魔力を持つ人間。
褒美として姫を嫁がせる事もあるが、大抵は魔力吸収装置に繋ぎ魔力回収を行い、媚薬を飲ませ子作りをさせる。
勇者でなくとも魔力が宿った魔法が使える子が誕生する。
恨みを買う事をしでかすから逃げ出した勇者達が魔族化し、仕返しで滅ぼそうと狙ってくる。
幾度も繰り返えされる魔族化した勇者による王家襲撃は、自業自得、致し方がない事かもしれない。
最初のコメントを投稿しよう!