バツイチの俺が家政婦に恋をした

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そんな生活が続いていた。 俺が丸山さんと会うのは、一日の中でのわずかな時間に過ぎない。 丸山さんは恥ずかしがり屋なのか、引き継ぎの時でも必要以上の会話をしない。 俺はもっと、丸山さんと世間話をしたいと思ってしまうのだが、丸山さんはすぐに帰ってしまう。 まぁ、家政婦なのでそういうものだろう。 一方、息子の和哉とは、かなりおしゃべりをしてくれているようだった。 和哉も話し相手がいてとても嬉しそうだ。 「今日はどうだったか?」 「うん。ママがね、おもしろいこと言ったの!」 ママ? 和哉は家政婦さんのことをママと呼んでいるのか? それはいかん。 「ママなんて言うんじゃない。丸山さんと言いなさい!」 和哉はしょんぼりしてしまう。 大人の事情で和哉には母のいない生活をさせてしまっている。 その罪悪感が、俺にのしかかってくる。
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